• coplet, France

野点茶会 in Coplet by Franck Armand


6月21日。フランスでも日本と同様、太陽が出ている時間が一番長い夏至の日だ。フランスでは夜10時頃まで太陽があり、一日がとても長い。こんな夏至の週末、南仏でフランス人による野点(のだて)があるというので参加した。

野点とは、外で行う茶会のこと。自然の中でお茶のお手前を楽しむ。いままでフランスにいて、ヴェルサイユ宮殿やリュクサンブール公園のような完全にコントロールされた人工的な庭か、アルベールカーン庭園のように日本の植物を植えた記号的な日本庭園しかみたことがなかったので、一体どんな場所で行われるのかとても楽しみだった。

野点をおこなわれたのは、Saint-Jean-en-Royansという南仏のとても小さな村。とうもろこし畑のこえて、森の小道を抜けると一面が苔に覆われた滝の広間があった。そこに立った瞬間、驚きと共に感動した。フランスにこんな場所があるとは。一見とても自然に見えるが、そこはよく見るととても手入れされている。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」というように、日本の美は自然をコントロールするのではなく、共に生きてゆく関係性に存在する。フランスにある自然をどう見立てるか。桜、紅葉、竹といったいわゆる日本的な植物は一切ないにもかかわらず、とても日本を感じるこの場所は、手入れの仕方=自然との距離感が日本と同じなのだ。日本の感性をもったフランス人、フランクさんの自然への感謝の心、招いた人たちへの心配りからこの空間を作り出している。日本人でもなかなかこういう場所は作ることができない。それはただ定石通りに庭を作ればできるものではないからだ。茶道と同様に、ただ教えられた通りにやってもそれは「型」だけになってしまう。彼の庭から「型」ではく、その場その時にしかできない「一期一会」のおもてなしを感じた。

日本から唯一参加したお茶の先生は「こんなところは日本では見たことがない」といっていたが、正確にはこういう場所でお茶をしなくなってしまったということだろう。お茶室や決まりだけにとらわれた多くの日本の教室では、こういう本質を捉えた茶会が行われていないように思う。こういう人に出会う度、フランスと日本の親縁を感じずにはいられない。そして日本にある自然と人間の関係性=感性が、日本人だけではなく海外の人に伝わっていき、それによって私たち日本人がこの価値を再認識するのではないか。今回フランクさんに出会うことでとても勇気づけられ、将来、フランスと日本がより深い相互理解をしていくきっかけになればと思った。